【お芋文庫】「そうめん部」

ヤスオはとっておきのギャグを思いついた。
そのギャグを言いたいがために、
「そうめん部」という部を作った。

自分以外に1人か2人
部員が居ればいいや、と思って始めた部だったが、
そうめん好きの人や、良く分からないけどおもしろそう、と
入部してくる人がけっこう居て
いつのまにか、部員は50名を超えていた。

顔合わせ的な会合を開いて、副部長にキシダさんを就任し、
週に1度、部室に集まって活動を行っていくことになった。

よし、これで準備は整った!!
ヤスオはとっておきのギャグを言う準備が整い、ワクワクした。

さて、そうめん部が発足して初めての活動日・・・
どのような活動をしていきたいか、と意見を出し合っていた。
そうめんの食べ比べ、色んなタレを試す、
ものすごい規模の流しそうめんをやってみないか、などなど
部員達からたくさんの意見が出た。

かなり会議が盛り上がってきたところで、
ヤスオは今だ!と挙手をした。
「そうめんの、総面積を調べようじゃないか!」

これは、ヤスオがずっと温めていたとっておきのギャグだった。
これを言いたいがために、そうめん部を作ったのだ。
ドッカーーーーーーーン!!と
部員全員が大爆笑になると思っていた・・・

だが、そうめん部の部員達は、皆、そうめんに対して真剣だった。
まさかここで部長がギャグを言うなんて、思いもよらなかったのだ。
誰一人として、部長の発言がギャグだとは気付かなかった。。

「そうですね、調べてみましょう。」
進行&書記をしていた副部長のキシダさんが言った。
引き続き、いろんな意見が交わされ、
ヤスオのとっておきのギャグは完璧にスルーされた。

次の日、そうめん部の部長は、キシダさんになっていた。