【お芋文庫】「ゆめのせかい」

世界の片隅に
『ゆめのせかい』と呼ばれる
アミューズメントパーク的なものがありました。

現実世界にくたびれてしまった人は、
その『ゆめのせかい』に遊びに行き、
現実を忘れることによって
どうにか生きてゆけるのでした。

現実世界にくたびれてしまう人が増え、
『ゆめのせかい』は日に日に混みあうようになり、
入場制限されることが多くなってしまいました。

せっかく夢の世界で現実を忘れようと行ったのに
入場制限で追い返されては
人々をガッカリさせてしまいます。
なので、『ゆめのせかい』は拡張工事をすることになりました。

たくさんの人を収容できるようになった『ゆめのせかい』は
入場制限も無くなって、ますます大繁盛。
拡張工事を繰り返し、どんどん広がり続けました。

やがて、世界中に『ゆめのせかい』が広がり
人々は夢の世界に生きるのが当たり前になりました。
『ゆめのせかい』で生まれ、
そこから出ること無く死んでいく人も居るぐらいでした。
そうすると、今までの『現実世界』が
人々の憧れの地になってゆきました。

先祖たちがあんなに忘れたがっていたのに。
現実世界って、カッコイイじゃん!!
スタイリッシュじゃん!!イケてんじゃん!!

そしてゆめのせかいの人々は現実世界に殺到しました。
入場制限がかかるぐらいでした。
なので、現実世界を拡張工事っていうか
拡張工事した『ゆめのせかい』を縮小工事!!みたいな感じになって
結局もとのサイズに戻ったんだってさ!