【お芋文庫】「出席をとる教室」

あるところに
教室があった。

学校ではない。
誰でも通える教室。

先生がひとり。
そこに集う生徒たち。

毎朝、先生は出席をとる。
そして、しばしお話をする。
いろんなたのしいお話を、みんなにしてあげる、先生。

評判は、またたくまに広がり、
生徒の数がどんどん増えていった。
教室に使う部屋も、どんどん広い場所に移った。

生徒が増えると、
出席を取るのに時間がかかる。
そうすると、先生のお話の時間が減ってしまう。

しかし、短くなっても先生のお話は面白い。
生徒の増加は止まらなかった。

あるひ、出席をとるだけで1日が終わってしまった。
それでも先生のお話の評判を聞きつけた生徒がどんどん増えた。

やがて、1日で出席を取り切れないぐらいになった。
今日取り切れなかった出席は明日に、と
先生はとりあえず帰った。

いつ、話をしようか
先生は悩んだ。